具体的な説明:舌下神経電気刺激装置( Inspire UAS)は、中等度から重度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)(無呼吸低呼吸指数 [AHI] が20以上)の患者さんの治療に使用します。舌下神経電気刺激療法(Inspire)は、BMIが32を超える患者さんでは試験されていません。30以下の患者さんが対象となります。舌下神経電気刺激装置(Inspire UAS)は18歳以上の成人で、陽圧気道圧(PAP)治療(持続陽圧気道療法[CPAP] または2レベル気道陽圧 [BPAP] 装置)で機能しないことが確認されている、またはこれに忍容性がなく、かつ軟口蓋レベルに完全な同心性虚脱がない患者さんに使用します。PAPで機能しないとは、OSAが排除できないこと(PAPを行ってもAHIが15を超える)と定義され、PAPに忍容性がないことは次のように定義されます。
PAPを使用できない(1夜あたり4時間以上として1 週間に5夜以上)または
PAPの使用を望まない(患者さんが PAPシステムの使用を試みたが、システムを返却したなど)。
軟口蓋レベルに完全な同心性虚脱がない、腺扁桃摘出術が禁忌である、または効果的に治療されていない、
コンプライアンスの改善を試みたにもかかわらず、PAP療法がうまく機能しないことが確認されている、または同療法に忍容性がない、または
他のあらゆる代替/補助療法を検討して標準的な療法を実施している。
下記に該当する場合、舌下神経電気刺激療法(Inspire UAS)は禁忌となります。
無呼吸低呼吸指数(AHI)において中枢性無呼吸+混合性無呼吸の割合が25%を超える場合
軟口蓋の完全な同心性虚脱の存在など、上気道刺激の成果を損なうような解剖学的所見がある場合
上気道の神経学的制御を損なうような病態や処置が見られる場合
スリープリモートの操作ができない、あるいは必要な補助が得られない患者さん
妊婦または妊娠を予定している患者さん
Inspireモデル3028を埋め込んでいる場合は、一定の条件と注意事項を満たせば、MRIを行うことができます。詳細については、『Inspire療法のMRIガイドライン』マニュアルを参照してください。
Inspireシステムと意図しない相互作用の影響を受ける可能性のあるデバイスを植込んでいる患者さん。医療機器メーカーに相談し、干渉の可能性を評価してください。
副作用として下記の症状が考えられます(ただし、これらに限定されるものではありません)。
植込み部位及び近位部の血管の損傷
出血
神経損傷
植込みされたデバイスに対するアレルギー反応や拒絶反応
感染症
局所的な炎症、血清腫、血腫、びらん、または腫脹
植込み部位の持続的な痛み、しびれ、または炎症
刺激による不快感
舌の動きの制限、舌の擦過傷による刺激(歯牙の形態の一部が鋭利だったり折れている場合)
舌の痛みや脱力感
飲み込みや発話が困難
刺激による不快感の経時的変化(電極周辺の組織の変化、電極の位置のずれ、電極接続の緩み、またはリード線の破損に関連する可能性)
植込み部位周囲の構造を損傷することなくシステムを取り外すことが困難となる線維化
口の渇き
その他の急性症状(頭痛、咳、呼吸困難、失語症、言語関連事象など)
不眠症
トレーニング - 医師は、デバイスの植込みや操作の前に、適切な使用法と外科手技についてトレーニングを受ける必要があります。
小児科 – 若年層患者の閉塞性睡眠時無呼吸症(18歳未満など)の大半は、神経刺激療法では適切に管理できない解剖学的閉塞(腺扁桃肥大など)が原因となります。
コンポーネント – Inspire Medical Systemsが供給しないコンポーネントの使用は、部品の損傷、不適切な動作、患者に対するリスクの増大につながる可能性があります。
ジアテルミー – 神経刺激システムが埋め込まれている患者には、短波ジアテルミー、マイクロ波ジアテルミー、治療用超音波ジアテルミー(現在はすべてジアテルミーと呼ぶ)を使用しないこと。ジアテルミーからのエネルギーが植え込まれたシステムを介し伝達され、電極が植え込まれた部位の組織の損傷や、重傷または死亡を引き起こす可能性があります。ジアテルミーは、神経刺激システムのコンポーネントにも損傷を与える可能性があり、その場合、治療が行えなくなり、システムの確認と交換のために追加の手術が必要になります。患者さんから医療従事者に、ジアテルミー治療を行ってはならない旨を伝えるよう助言してください。下記の場合、ジアテルミー治療中に患者さんが負傷したり装置が損傷する可能性があります。
神経刺激システムのオン/オフ
ジアテルミーを神経刺激システムの部位だけでなく、全身のいずれかで使用している
ジアテルミーによる発熱のある/なし
神経刺激システムのコンポーネント(リード、エクステンション、神経刺激装置)が体内に残存している
磁気共鳴画像法(MRI)
Inspireモデル3028を植え込んでいる場合は、一定の条件と注意事項を満たすことで、MRIを実施できます。詳細については、『舌下神経電気刺激(Inspire)療法のMRIガイドライン』マニュアルを参照してください。
スリープリモートの使用 – スリープリモートを操作する場合、可燃または爆発の恐れのある環境では特に注意を払う必要があります。可燃または爆発の恐れのある環境とスリープリモートの電池との間で干渉が生じる可能性があります。可燃または爆発の恐れのある環境で電池式のスリープリモートを使用した場合の結果は不明です。
肥満指数(BMI)– BMIが32を超える被験者は、臨床試験において検討されませんでした。Feasibility study(実現可能性研究)のデータによると、治療効果が低い可能性があります。有効性と安全性が不明なため、BMIが高い患者さんへの舌下神経電気刺激装置(Inspire)の使用は推奨しません。
舌下神経電気刺激療法の治療は、所定の講習を受講した専門の医師が行います。下の[病院を探す]をクリックし、どの病院で治療が受けられるかを詳しく調べることが出来ます。
病院を探す0800-919-4976